「脱落者」ジム・トンプスン著 田村義進訳
8月の終わりの午後、保安官補のトム・ロードと娼婦のジョイスを乗せた大きなコンバーティブルがテキサスの西の外れを走っていた。止まったのは、アーロン・マクブライドが監督責任者を務めるハイランド・オイル&ガス社の試掘井のやぐらと付帯施設の前だった。作業員の話では、マクブライドは必要な機材が届かず作業が一日中断しただけで、全員を解雇したという。
トムとマクブライドの間には確執があった。トムが幼いころ失踪した母が息子の手元に残したのは、一見、最悪に見える土地の採掘権だった。大金持ちになるはずだったトムに取引をもちかけたのがマクブライドだったのだ。
西部の町の原油採掘権をめぐるサスペンス。
(文遊社 2500円+税)