「看る力」阿川佐和子、大塚宣夫著
94歳で亡くなった作家の父・弘之氏をみとり、認知症の母親を介護中の阿川氏と、高齢者医療の専門家である大塚氏の対談集。
弘之氏は晩年の3年半を大塚氏が運営する老人病院で過ごした。阿川氏は、病室に料理を持ち込む自由を認めていることに驚いたという。父親の要求は果てしなく、病院食を温める電子レンジを持ち込み、病室で毎晩、晩酌までしていたという。
開業当初、医療を施すほどに元気がなくなっていく患者を前に大塚氏は、「お年寄りに必要なのは、医療よりも介護」だと気づいたという。そして介護よりも生活が第一と、入院中の衣食住を整えることを第一に考え、入院前と同じ生活を持ち込むことを認めていると話す。
親や家族の正しい介護法や理想の老後など、知りたい情報が満載。
(文藝春秋 780円+税)