「立ち食いそば大図鑑[首都圏編]」東京ソバット団著
「孤独のグルメ」の井之頭五郎のように、ランチといえども手を抜かず、自分が食べたいものをゆっくりと味わうのは健康にもストレスにもよさそうだ。しかし、忙しいサラリーマンにとっては夢のまた夢、現実はスケジュールや懐具合に相談してということになる。そんなときに、サラリーマンの強い味方になってくれるのがジャパニーズ・ファストフードの代表「立ち食いそば」だ。
本書は、都内を中心に首都圏の人気立ち食いそば店を紹介するB級グルメガイド。
かつては安さと早さが命で、味は二の次だった立ち食いそばの世界も日々進化しており、それぞれが独自の味を追求し、提供しているという。
日本橋の「よもだそば」は、ニラ天やチーズそば、それにそばツユに合う本格カレーを目指して開発したカレーなど、独自メニューを次々と発表してきた。そのおいしさを支えるのは、店の地下で打つ自家製麺のそばと、化学調味料不使用のツユだ。
茅場町の「蕎麦たかね」は、今でこそ多くの店が出している十割そばを古くから提供。さらに卵・揚げ玉・大根おろし・ねぎが無料でトッピングできるという気前の良さで、かけそばでも十分に満足できるのが売りだ。
その他、古いスタイルのお店を残しておきたかったと、あえて太めのゆで麺と濃いめのツユにこだわる馬喰町の「そば千」から、コク味のあるツユにニンニクチップが加えられたラーメンのようなそば「コテリ」が名物の三田の「à la 麓屋」などのニューウエーブ、山形県河北町で食べられている「肉そば」が味わえる小川町の「河北や」など、地方色豊かな店まで72店舗。
どれもおいしそうで全店制覇したくなる。
(スタンダーズ・プレス 1000円+税)