「ドラ猫進化論」沼田朗著
「ドラ猫」は「野良猫」とイコールとされているが、著者はイメージ的に違うと感じた。「ドラ猫」を辞書で調べてみると、「よそのものを盗み食いする」ことが特徴のようだ。「どら」は「ドラ息子」などに使われるように、「放蕩、道楽」の意味がある。江戸時代には怠け者のドラ息子が街を闊歩していたが、同じ頃、ネズミを捕らず、献立用の魚をかすめ取って逃げる猫が増えた。「お魚くわえたドラ猫」は江戸時代からいたのだ。インターネットの「語源由来辞典」によると「どら」は怠けることや放蕩を表す「のら」が強調された語だというから、「ドラ猫」は「野良猫」のパワーアップしたものなのだ。
「ドラ猫」のサバイバルの歴史を、マニアックに、熱く語った一冊。
(三賢社 1800円+税)