「師・寅次郎と主君・慶親」鶴田慎一著
極貧の下級武士の次男として生まれた寅次郎(吉田松陰)は9歳で山鹿流兵学を修め、長州藩の藩校である明倫館で年上の藩士に兵学を教えるほどの天才だった。
主君の毛利慶親は養子だったが、銀8万貫にも上る借金を抱えた藩の財政を再建した名君だった。
家老から寅次郎の噂を聞いていた慶親は、領地に帰国した際に寅次郎に御前講義をさせ、その才を認めて寅次郎の弟子となる。後年、松陰が安政の大獄で井伊直弼に捕らえられそうになったとき、慶親は長州藩の獄に入れるという奇策で松陰を救った。松陰の死後、慶親は松陰の策を入れ、薩摩藩との同盟を進めて倒幕を目指す。
固い信頼で結ばれた主従の絆を描く歴史小説。
(日本橋出版 1600円+税)