「戦国十二刻」木下昌輝著
応仁の乱の頃、室町将軍足利義政のお抱え庭師、善阿弥は、西軍が虎視眈々と狙っていた相国寺の庭を必死で守ろうとしていた。相国寺は花の御所と東軍総大将の細川勝元の屋敷をつなぐ位置にある。その庭は義政と善阿弥が苦心して造ったものだった。義政は、相国寺を救えばもう一度、政に向き合うと約束した。善阿弥は一休宗純の元に赴き、西軍や東軍の大将を説得してほしいと頼む。
相国寺の七重塔と庭園を惜しんだ一休は、予言記「聖徳太子未来記」の一節が応仁の乱を予言しているといわれていることを憂慮し、西軍の本陣に向かう。(「乱世の庭」)
他に厳島の合戦など、歴史的な事件が起きる24時間前に目を向けた時代小説。
(光文社 1600円+税)