「カエルの小指」道尾秀介著
阿部寛、石原さとみ、能年玲奈らで映画化され評判になった「カラスの親指」の続編。詐欺師のタケこと武沢竹夫が掏摸で一家を支えている少女まひろらと、ヤミ金業者に一世一代のペテンを仕掛けてから十数年後。実演販売で身すぎをしている武沢がホームセンターでジューサーを売っていると、キョウという中学生が弟子入りを志願してきた。
事情を聴くと、キョウの母親が詐欺師に騙されて両親の会社が倒産、悲観した彼女はビルから飛び降りた。その詐欺師ナガミネを捜す探偵料を稼ぐために、テレビの天才キッズコンテストで実演販売を披露して優勝し、賞金を獲得したいという。
武沢はキョウに特訓を施すとともに、かつての詐欺仲間、まひろ、その姉のやひろ、やひろの夫の貫太郎、そして、やひろ夫妻の息子で小学生ながらITに詳しいテツも加え、ナガミネに一杯食わせるべく大がかりなペテンを仕掛けるのだが、キョウの復讐には意外な秘密が隠されていた――。
前作同様、幾重にも仕組まれた仕掛けが最後に見事に収束し、カタルシスをもたらしてくれる。
(講談社 1700円+税)