「人生を変えるサウナ術」松尾大氏

公開日: 更新日:

 サウナが大ブームだ。サウナを題材にした漫画「サ道」やTVドラマが注目され、オリエンタルラジオの藤森氏など若いサウナー(サウナ愛好者)芸能人や経営者が増え、サウナを軸にした旅行企画も人気だ。本書はそんな今どきのサウナ事情や、正しい入り方を紹介する教科書的な一冊。共著者のひとりで、年間400カ所以上サウナに入るという松尾氏は、サウナ効果か、お肌がツルツルだ。

「『汗だくで耐える昭和のおじさん』的なイメージがあって、サウナが苦手だという人はまだ多いですよね。それは今までの入り方が根本的に間違っていたせいなんです。超高温の中、苦しくても我慢比べみたいに耐えて、水風呂にザブーンとした後、またすぐサウナ室に入る……という。これじゃサウナの気持ちよさを全く味わえず、ナンセンスです。サウナ大国フィンランドでは誰もそんな入り方をしていないし、そもそもカラカラで高温のトースターみたいなサウナは日本だけ。もっとウエット&マイルドなのが普通なんです」

 本書によると、フィンランドでは「サウナの魂」とまでいわれるロウリュ(サウナストーブに水をかけ蒸気を発生させること)が、日本でサウナが普及する際、なぜか伝わらなかった。高温で乾燥したサウナは苦しいし、肌や喉にもよくない。

 最近はロウリュができるサウナも増え、またロウリュができなくても正しい入り方をすることで、サウナの効果を得られると著者は強調する。

「サウナ室→水風呂→休憩というセットが基本ですが、一番重要なのが休憩です。休憩こそサウナ最大の効果である『ととのう』が感じられる時間。科学的にいえば、サウナ室と水風呂で交感神経優位になったところに、休憩で一気に副交感神経優位にスイッチする。ここで究極のリラックス状態になって、肌の汗も引き、でも体の芯は温まっていて、屋外の休憩スペースなら感覚が研ぎ澄まされた産毛に心地いい風を感じる。僕はこれを『地球の愛撫』と呼んでいます(笑い)」

「ととのう」とは「心と体がリフレッシュされた、調和の取れた理想的な状態」になることだ。「ととのう」ことで、ストレス社会の現代人が抱える不眠、生活習慣病、免疫力低下などの改善から、精神的安定、仕事の能率アップ、モテるなどさまざまな効果があると詳しく紹介されている。

「運動や流行のマインドフルネスでも似た効果がありますけど、何といってもサウナは努力が一切いりません。値段も1000~3000円と手頃で、道具も準備もいらない。裸っていうのが結構ポイントで、仕事でも趣味でも、服装や持ち物で相手を判断しちゃうことってやっぱりあるじゃないですか。その点、サウナはみんな平等にすっぽんぽん。スマホの情報からも強制的に遮断されて、木製の室内で裸でストーブを囲むのは、森の中でたき火を囲むような、原始に返るような体験なんです」

 入る際の注意点やサウナをより楽しむためのコツ、そしてビジネスホテルからディープな穴場まで全国約40カ所、フィンランドを中心にニューヨークやドイツなど世界各地のサウナ情報も満載だ。数ある施設から、いいサウナに出合うコツはあるのだろうか?

「例えば僕がよく行くところは、最新の施設じゃないけど、地元の常連さんたちの無言の連携や掛け合いが何とも気持ちいい。タオルで熱波を送るサービスを楽しみに選んでも、ロウリュや心地いい休憩スペースや食事所を目当てにしてもいい。『サウナイキタイ』という情報サイトは口コミもあって便利なので、自分が興味のあるポイントから選んだらいいですよ」

(KADOKAWA 1400円+税)

▽まつお・だい サウナー専門ブランド「TTNE」代表。フィットネスクラブや福祉施設等を経営する傍ら、サウナのプロデュースやサウナ関係の執筆、メディア出演等幅広く活躍。フィンランド政府観光局認定サウナアンバサダー。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース