「希望という名のアナログ日記」角田光代著
著者が作家を夢見たのは小学校1年生のとき。テレビを見るより、出掛けるよりも本が好きで、読み書きができるようになって初めて書いた作文に、「作家になりたい」と決意表明したのだ。やがて作家になる“夢”は将来の目標になり、大学1年のとき、少女小説で新人賞をもらいデビューする。ところが、自分が書きたいものとは違うと気が付いてしまい、本も売れず、大学卒業間際には担当者から「クビ」を宣告され、まさかの無職に……。
今や大人気作家の著者が23歳で出直しデビューしてから、直木賞受賞までの間の挫折、母との別れや離婚、受賞以降の仕事観、旅など半生とプライベートをつづったエッセー。
夢は放っておいてもかなう人もいるが、自分にとってのそれは正しい努力をして初めて手に入るものという著者が再婚する気になった理由、大好きな忌野清志郎の魅力、さらには那覇マラソン、住んでいる町の素顔まで日々の暮らしを描いた全50編を収録。
(小学館 1600円+税)