「瓦礫から本を生む」土方正志著
ライターとして各地の被災地を取材してきた著者は2000年、仙台を拠点に地域に根差した出版社を設立したが、11年後に自らも東日本大震災の被災者に。
被災直後は廃業も頭をよぎるが、各地の書店や作家からの応援を受け、震災を語り続けるための仕事に取り組もうと決意。その苦闘の日々をつづった手記だ。
被災直後、家族と社員、そしてアルバイトとともに避難先を求め山形へ。2週間後に見つかったアルバイト女性の父親の遺体に手を合わせながら、「本を出そう」と思ったという。
自宅も事務所も失ったが、避難先から原稿を依頼、2カ月半後に「仙台学」最新刊の刊行にこぎ着ける。以後、5年間の記録と、出版人、そして一被災者としての日々の思いを明かす。
(河出書房新社 980円+税)