「合理的にあり得ない」柚月裕子著
ゼネコンの2代目社長・本藤の唯一の欠点は決断力に欠けること。母親に助言を仰がなければ、大事な決断を下せないのだ。そんなある日、本藤はクラブのママから予知能力があるという経営コンサルタントの高円寺を紹介される。後日、高円寺は本藤の前で、衛星放送で放映されていたボートレースの着順をすべて言い当ててみせる。信用した本藤は、高額のコンサルタント料を支払い、逐一高円寺の指示を仰ぐ。
さらに高円寺を独り占めするため破格の報酬で年契約を結ぼうとするが、ホテルのロビーで契約を終えた本藤と高円寺に隣席の中国人実業家が美人通訳を介して話しかけてきた。
元弁護士の涼子が美貌と頭脳を武器に、欲まみれの人間たちを成敗する連作エンタメ。
(講談社 700円+税)