「立花三将伝」赤神諒著
永禄3(1560)年の春、15歳の米多比三左衛門は、筑前国の要衝を占める立花家に仕えることになった。大友一族の立花家は、「西の大友」と称されるほどの名門。その立花家には随一の武芸者といわれる弱冠19歳の藤木和泉、18歳の軍師・薦野弥十郎がいた。
武技に自信のあった三左衛門は和泉と手合わせをするも打ち負かされ、弟子入りを志願。一方で、三左衛門は一目ぼれした和泉の妹・佳月の頼みで、政治的立場の違いに由来して絶交中であった和泉と弥十郎とを仲直りさせようと奔走する。
そんな中、宗像が立花家を襲来。しかし弥十郎の計略で撃退し、以来、三将の絆は強まっていく。そして8年後、筑前では毛利の支配が進み、諸将が大友を離れ、立花家は孤立していた。やがて和泉は大友派、弥十郎と三左衛門は毛利派と別れてゆく――。
九州北部を席巻した戦国大名・大友家を題材とした歴史小説シリーズで人気の著者の最新作。本作は立花宗茂のひとつ前の時代にあった「立花鑑載(あきとし)の乱」を描いており、三将の友情や当主の娘・皐月姫らの恋心も絡む青春群像劇だ。
(講談社 1700円+税)