「ダーク・ブルー」真保裕一著
日本海洋科学機関のパイロット、大畑夏海が所属する潜航チームは、潜水調査船「りゅうじん6500」に搭載された新型コンピューターの検証実験のため、りゅうじんの専用母船「さがみ」に乗り込んだ。共に搭乗したのは、潜水シミュレーターのプログラムを担当した奈良橋教授とその補佐の久遠蒼汰、ロボットアームを担当した三峯重工業のエンジニアら。フィリピン沖を目指して出航したものの、途中、武装集団の襲撃に遭い、操縦室は占拠されてしまった。
シージャック犯は、船員の命と引き換えに、海に沈んだ彼らの宝をりゅうじんを使って引き揚げることを要求してきた。彼らは直接指示を出すためにりゅうじんに乗り込むことを主張し、操縦士には夏海が指名された。台風も近づく中、果たして夏海はシージャック犯と2人きりの調査船の中で、生死をかけたこのミッションを切り抜けることができるのか――。
「ホワイトアウト」などの秀作で、多くのファンを持つ著者による最新作。深海という孤立無援の場で起こった危機的状況から主人公はどうサバイバルするのか。スリリングな展開に手に汗握る。
(講談社 1700円+税)