「飛燕の簪(ひえんのかんざし)」知野みさき著

公開日: 更新日:

 縫箔(ぬいはく)師の咲は注文のたばこ入れを納めに日本橋の小間物屋へ。縫箔師とは、たばこ入れや財布、くし入れなどの小物に刺繍と金銀の箔で模様を施す職人だ。帰り道、咲は立ち寄った店で目にした銀の簪に一目ぼれする。飛燕とモクレンの意匠が見事で聞くと今人気の錺(かざり)師・修次の作だという。欲しいが、値段を聞いて二の足を踏んでしまう。

 翌日、それでも諦められず再び店を訪ねると、当の修次が現れ、簪は出来損ないなので売れないという。そして店の手代と修次、そして咲が店頭でもめていると、現れた子供が簪を奪って逃げ出し、後を追いかけた修次と咲は、犯人が逃げ込んだ神社で簪を手にした男の子に出会う。

 幼くして両親を亡くし長屋で暮らす女職人を主人公にした時代連作集。

(角川春樹事務所 640円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大逆風の田中将大まさかの〝浪人〟危機…ヤクルト興味も素行に関する風評が足かせに

  2. 2

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  3. 3

    楽天・田中将大の二軍テスト続行を明言…“外様”今江監督ならではの「常識的判断」

  4. 4

    「(菊池雄星を)高1で超えてやる」 天性の負けず嫌いが花巻東に進学した“本当の理由”

  5. 5

    斎藤元彦知事&代理人弁護士「時間差会見」のあざとさ…二人揃ってPR会社美人社長をバッサリ切り捨て

  1. 6

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  2. 7

    斎藤元彦知事が百条委トンズラで大誤算!公選法違反疑惑に“逃げの答弁”連発も「事前収賄罪」の可能性

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    「終わらない兵庫県知事選」の行方…新たな公選法違反疑惑浮上で捜査機関が動く“Xデー”は

  5. 10

    斎藤元彦知事代理人の異様な会見…公選法違反疑惑は「桜を見る会前夜祭」と酷似、期待されるPR会社社長の“逆襲”