「AIの壁」養老孟司著
「これからはAIだ」という世の安易な雰囲気を危惧する著者は、本当に必要なものは何かを考えるのが大切だと説く。そんな著者によるAIをテーマにした対談集。
トップバッターの棋士・羽生善治氏は、AIを人間の持っている能力や才能を伸ばすためのツールとして使う方法を先行して提示したのが将棋界かもしれないと語る。将棋ソフト開発の内幕に触れ、深層学習はそのプロセスで何が起こっているのか分かりにくい側面があると指摘。人間にAIが受け入れられるかの鍵はこのような「ブラックボックス」をどう評価するかが課題なのだ。
その他、経済学者の井上智洋氏、哲学者の岡本裕一朗氏、数学者の新井紀子氏の4人とAIの限界と未来を語る。
(PHP研究所 880円+税)