「応仁悪童伝」木下昌輝著
殺人のぬれぎぬを着せられて逃げてきたお輪と一若の姉弟は、村人たちに追われて離れ離れになってしまった。なんとか逃げ延びた一若は、堺の慈済寺に逃げ込み、中稚児となった。この寺は中稚児に能や連歌などの芸事を教え込み、諸国を放浪する芸人に育てている。素質がないと下稚児となり、僧侶たちの慰みものにされる。
同い年の熒(けい)は高貴な家の生まれで、高僧の世話をする上稚児だったが、父に見捨てられ、稚児潅頂(かんじょう)を受けることに。妖しい美貌の持ち主である熒を犯そうとした僧侶を短刀で刺殺し、一若と2人で逃げ出すが……。
己の知恵や美貌を武器に乱世を生き抜く2人の少年を描く。
(角川春樹事務所 1800円+税)