「路上のX」桐野夏生著
叔父宅に居候する高1の真由は、家に居場所がなく、朝帰りを繰り返す。一家が出かけた後に仮眠し、午後から登校。バイトを終えた後は夜の渋谷で時間を潰す。
有名女子高に進学が決まった直後に両親が夜逃げ、通うことになった公立高校にもなじめない。叔母からは食事も与えられず、地獄の日々から抜け出したいが、誰も助けてくれない。親切心を装って近づいてくる大人にことごとく裏切られ、傷つき、街をさまよう真由は、ある日、1つ年上のリオナと知り合う。リオナも中学生のときに家を出て以来、転々とした生活を送っていた。その夜、リオナが世話になっている大学生・秀斗の部屋に転がり込むが……。
虐待や性暴力、JKビジネスなど、過酷な人生を強いられた少女たちの現実をリアルに描く長編。
(朝日新聞出版 800円+税)