「考える身体」三浦雅士著
長年、バレエや日本舞踊を見続けてきた著者は、舞踊ほど根源的な芸術はないという。本物の感動とは、相対的なものではなく、嵐のように襲ってくる絶対的なものである。その嵐が過ぎ去って、人はこれは何だったのかと考える。感動する身体とは、そして感動させる身体とはいったい何かと。考えているそばからまた新たな感動に襲われ、身体が震える。これこそが舞踊の醍醐味(だいごみ)だと語る。
その体験から、感動とは身体の問題であると考えるようになったという著者が、人間という生命現象の起源と不思議に迫る身体論。
舞踊にとどまらず、美術や音楽などのあらゆる芸術、そしてメディアやファッション、建築まで、身体との関係を解き明かしながら、身体と精神、個と社会の関係を見つめる。
(河出書房新社 1342円)