「源氏の白旗」武内涼著
平治の乱で平清盛に敗れた源義朝は兵を率いて敗走していたが、若党の渋谷金王丸に側女、常磐への伝言を託す。自分が迎えに行くまで深き山里に身を隠せ、と。
後日、義朝が討たれたとの知らせを聞いた常磐は、義朝の長子、悪源太義平が六条河原で首をはねられたことを知る。自分の子どもも清盛に殺されると考えた常磐は、今若、乙若、牛若を連れ、粗末な小袖に身をやつして大和に向かう。だが、都に残してきた老母がとがめを受けることを案じ、京に戻る。におうように美しい常磐を見た清盛は、自分の側女になれと迫った。
他に、河内源氏への対抗心から平家方についた源頼政ら、源平合戦の中のそれぞれの苦悩や決断を描く連作歴史小説。
(実業之日本社 1870円)