「『性』の進化論講義」更科功著
多くの生物はオスとメスがいて有性生殖をするが、オスがいなくて、メスだけで子をつくる生物も結構いる。有性生殖では子をつくるのに親が2匹必要だが、こうした無性生殖は親が1匹いればよい。つまり繁殖に関する限り、有性生殖は無性生殖よりも不利なのだ。繁殖の手段でないのなら、どうして性は進化したのか。そんな性と進化の関係の謎を解き明かす講義集。
有性生殖は有利な遺伝子同士を一緒にすることも、有害な遺伝子から隔離することもできる。よって進化速度を速める。性が進化した理由としてもっともらしいが、一方で性によって進化速度が遅くなるという説もあるそうだ。マンモスやシュモクバエなどの不合理な進化を遂げた生き物たちを取り上げながら、生物の進化の真実に迫る。
(PHP研究所 1012円)