「日本人の宿題」半藤一利著 保阪正康解説
作家・半藤氏が生前にラジオで語っていた発言をまとめた日本人への遺言ともいえる書。
「歴史探偵」と呼ばれ、多くの戦争関連書を残した氏が一貫して説いたメッセージは「戦争というものは、本当に人間がやってはならない一番最大の悪である」だった。
向島で育ち、東京大空襲を生き延びた氏は、疎開先の新潟県で勤労奉仕中に終戦を迎える。昭和30年代に出版社で働き始め、作家に代わって当時は存命だった軍関係者などを取材する中で、彼らから真実を聞き出すために史料を読んで猛勉強したという。
そうした歴史に携わることになった原点など、自らの半生を語る一方で、一口に軍部の独走だけでは片づけられない日本が太平洋戦争に突入した理由など、半藤昭和史の神髄を語る。
(NHK出版 968円)