「江戸の組織人」山本博文著
徳川幕府を中心に、江戸時代の組織のあり方と組織に生きる武士の実像を解説する歴史テキスト。
まずは将軍の直臣から。直臣には大名・旗本・御家人の3種類があり、大名は1万石以上の武士、旗本は1万石未満で将軍に御目見得(拝謁)できる武士、御家人は御目見得できない武士だ。
旗本の家格が最も高く優遇されたのが「両番家筋」で、将軍の身辺を警護する軍事組織「書院番」と「小姓組番」に配属される者をこう呼ぶ。幕府内のエリートである両番家筋に続くのが、幕府の軍事組織の中核である「大番」家筋だ。大番は12組あり、1組が50人ほどで構成される。晴れて番入りした旗本は同僚の番士に鰹節や反物などの贈り物をしたという。
ほか、町奉行所や勘定所、御庭番、そして大奥など、現代官僚制にも匹敵する幕府の各組織を詳細解説する。
(朝日新聞出版 1001円)