「長崎丸山遊廓」赤瀬浩著
江戸時代、長崎の丸山遊郭は、他の都市の遊郭とは異なるもうひとつの役割を果たしていたという。対外貿易港として栄えた長崎だが、貿易によって動く大金は素通りするだけだった。ゆえに来日した唐人やオランダ人、そして全国から集まる商人の金を長崎の地に落とさせる役割を任されていたのだという。他の遊郭の遊女らとは異なり、高収入の丸山遊女もおり、町の人々にも遊女奉公自体への偏見や蔑視が少なかったそうだ。
そんな丸山遊郭と丸山遊女らの実態を新たな視点で読み解く歴史テキスト。
その起源から、当時全住人がキリシタンだった長崎で遊女屋が果たしたもうひとつの役割や遊郭の様子、遊女らの仕事ぶりなどを紹介しながら、地元の産業や文化に与えた影響までを考察する。
(講談社 1320円)