「江戸の旅行の裏事情」安藤優一郎著

公開日: 更新日:

 江戸時代は、観光旅行が庶民にも身近となった最初の時代で、元禄年間には一大旅行ブームが起きたという。ブームのきっかけは寺社参詣で、旅行に必要な「往来手形」も、寺社参詣が理由なら発給がされやすかった。参詣帰りの精進落としには、遊女屋での遊興も含まれ、参詣が遊興を楽しむための方便にもなっていた。宝永2(1705)年に伊勢神宮を参宮(お伊勢参り)した人は2カ月足らずで362万人にも上る。また意外にも女性のグループ旅行も多く、消費行動で旅行市場に貢献。

 一方、大名の参勤交代も莫大な金を街道や宿場に落とし内需拡大に貢献したが、宿泊料のダンピングや備品の破壊など、宿泊先でのトラブルが続出したという。そんな江戸っ子たちの旅行ブームの舞台裏を紹介する面白歴史テキスト。

(朝日新聞出版 891円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動