「密告の件、Mへ」加茂隆康著
弁護士の水戸が大学の講師をしていたときの恩人で、法科大学院教授・平手理沙子が何者かに殺される。
翌日、刑事が水戸を訪ねてきた。遺品の手帳に貼られた付箋に「密告の件、水戸Lへ」と書かれてあったという。しかし、ここ数年、平手とは親交はなく、水戸には心当たりがない。
そんな中、マスコミで活躍する人気弁護士のヒロ子が水戸の事務所に助けを求めてくる。ヒロ子はかつて担当した交通訴訟の依頼人から弁護士会に懲戒請求を出され、懲戒処分に付されてしまったという。明らかに冤罪であり、水戸はヒロ子の代理人となって日弁連に異議申し立てにあたる審査請求をする。しかし、当のヒロ子が平手殺しの容疑者として逮捕されてしまう。
現役弁護士が法曹界の腐敗を描いた迫真のリーガルサスペンス。
(講談社 858円)