「レックスが囚われた過去に」アビゲイル・ディーン著 国弘喜美代訳
企業専門弁護士としてニューヨークで働くレックスは、イギリスの刑務所に呼び出される。刑期中に死んだ母親の遺言執行人に指名されていたからだ。
レックスら6人きょうだいは、マンチェスター・ファローフィールドのムア・ウッズ・ロードにある家で両親から激しい虐待を受けて育った。レックスと妹のイーヴィは食事も満足に与えられず、窓を閉ざされた部屋に鎖でつながれていた。
ある日、レックスが助けを求めて逃げ出し、事態が発覚。父親はその場で自殺し、事件は国中を震撼させた。レックスは事件当時のまま残されたあの忌まわしい家の扱いを決めるため、それぞれ養子となり、別々の人生を歩んでいるきょうだいを1人ずつ訪ね歩く。
壮絶な過去と現在が交錯する心理ミステリー。
(早川書房 2750円)