「聞く技術聞いてもらう技術」東畑開人著
「聞く」は語られていることを言葉通りに受け止めること。一方「聴く」は語られていることの裏にある気持ちに触れること。人々の話に耳を傾けてきた臨床心理士の著者は、聴くよりも聞く方が難しいことに気づいたという。言われていることの真意を読み取ろうと、目の前にある言葉を無視してしまうからだ。
人の話が聞けないのは、その人が話を聞いてもらっていないからだという。心が追い詰められ、脅かされているときには人は他人の話を聞けない。聞くは聞いてもらうに支えられているゆえに、聞く技術は聞いてもらう技術に補われなくてはならない。
本書は、聞く、聞いてもらう実践的な技術に始まり、聞くの不思議と聞くに宿る深い力について解き明かすコミュニケーションテキスト。
(筑摩書房 946円)