公開日: 更新日:

 将軍職から退いた後も、大御所として徳川家の繁栄を望み手を打ち続ける家康。一方、一大名家に格下げされた豊臣家の復権を図ろうと虎視眈々と機会をうかがう秀頼の母、淀殿。関ケ原の戦いの後から大坂の陣までを、2人の視点で描く長編小説。

 慶長8(1603)年、家康の征夷大将軍就任に大坂方は衝撃を受けるが、秀頼が成人すれば家康は将軍職から退き、秀頼に天下を返すと考えた。おまけにその夏には11歳の秀頼のもとに家康の孫娘で7歳の千姫が入輿することで、家康は秀頼との共存に舵を切ったことが明らかになった。

 翌年、秀吉の七回忌に行われた豊国神社臨時祭礼で、家康は民衆の秀吉人気を目の当たりにする。その翌年、家康が秀忠に将軍職を譲ったことで大坂方は、家康の豊臣家への天下返還が希望的観測であったことを思い知る。秀忠の将軍就任を祝うために秀頼の上洛を求められた淀殿は、「無理強いするなら、秀頼を殺し、私も死ぬ」と拒否する。

 このとき家康65歳、秀頼は14歳になっていた。

(幻冬舎 2090円)

【連載】大河ドラマで注目!徳川家康がまるっと分かる本特集

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  5. 5

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  1. 6

    大阪万博会場は緊急避難時にパニック必至! 致命的デザイン欠陥で露呈した危機管理の脆弱さ

  2. 7

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  3. 8

    レベル、人気の低下著しい国内男子ツアーの情けなさ…注目の前澤杯で女子プロの引き立て役に

  4. 9

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  5. 10

    芳根京子も2クール連続主演だが…「波うららかに、めおと日和」高橋努も“岡部ママ”でビッグウエーブ到来!