(5)私がママよ、あなたを産んだの
女は立ち上がって胸を反らせた。綾瀬はへたり込んだままだから彼女の上からの視線をまたうけねばならなかった。最初からずっと見下ろされっぱなしだ。女の目が和らいだ。
「本当はね、これしかなかったのよ。施設にはろくな服がないの」
綾瀬の表情が静止した。施設。この女は──、…
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