(7)ぼくは大きな木の洞にいたんだ
綾瀬が言った。
「絵描きの能力を安直に否定しないでほしいな。それより、桜はどこへ行った。城址公園の桜の森は今が盛りだぞ。ぼくは花見をしたいんだ。こんな溝の底みたいな場所から早く脱出したい」
「私もあなたも水の国から流れて来たの。海には敬意を払うべきよ。私は向こうへ送…
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