「そもそも島に進化あり」川上和人著
「そもそも島に進化あり」川上和人著
「鳥」類学者の著者がなぜか「島」について語る面白科学エッセー。
南硫黄島には、捕食者となるタカがいないため、本来は夜行性のオオコウモリが昼間から飛び交っている。多種多様なタカがいる本州では、このような特殊行動は発達しづらい。島は、このように複雑な生態系から少数の要素を抽出して構成され、隔離された箱庭だという。
かつて大陸と陸続きだった歴史がある大陸島と水深の深い海洋プレートの上に生じた海洋島の違いなど、まずは島の基本を解説。
その上で、大陸の生物相のセットが最初から存在したか、陸伝いに入り込む余地があった大陸島と、海を越える能力を持つごく一部の生物のみが存在を許される海洋島で、生き物たちがどのような進化を遂げてきたかを解き明かしていく。 (新潮社 880円)