「生物に学ぶ 敗者の進化論」稲垣栄洋著
38億年におよぶ地球の生命の歴史を振り返ると、生き延びてきたのは常に弱者、敗者だと著者はいう。最初の危機となった、全海洋蒸発と全球凍結のときに生命をつないだのは、地中奥深くに追いやられていた原始的な生命だった。
生命は単純なコピーの繰り返しであり、繰り返されるコピーにはしばしばコピーミスが起きる。このミスの繰り返しによって、生命はさまざまな変化を可能にしてきた。そんな生命の歴史に学ぶサイエンスエッセー。
食べたものを体内に取り入れて共生する「細胞内共生」にはじまり、大腸菌にもあるオスとメスが生まれた理由、隕石(いんせき)の衝突前から恐竜を追い詰めていたという植物の進化など。
知的好奇心が刺激されるお薦め本。 (PHP研究所 858円)