(5)侍従を薫く度に泰助が恋しく
泰助がゆっくりと近付いてくる。それぞれの持つ行灯の火が互いの姿をぼんやりと浮かび上がらせた。
泰助の表情がいつになく揺れていることに気づき、返事を先延ばしにしてきたことを、おみつは申し訳なく思った。
「先日、お父つぁんから店を畳むことにすると聞きました。泰助さんが…
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