「メディアとテロリズム」福田充著
「メディアとテロリズム」福田充著
テロリストやテロ組織は、自らの政治的主張を世界に宣伝するために、事件を起こし、メディアを利用する。本書は、両者の共犯関係を解説したテキスト。
2017年、英国のコンサート会場で自爆テロが発生、多数の死傷者が出た。犯人は英国生まれのイスラム教徒で、組織に所属していない個人の犯行だった。しかし、テロ組織イスラム国は事件に乗じて犯行声明を発表。
一昨年の安倍元首相銃撃事件では、事件後、メディアが連日、山上被告家族と旧統一教会とのトラブルを報道。被告が望み仕組んだ通りに旧統一教会は社会問題化し、メディア報道は結果的に被告のテロリズムの目的達成に加担したのである。
こうした国内外のテロ事件を検証しながら、メディアとテロリズムとのあるべき関係を考察する。 (新潮社 924円)