BREWBOOKS(西荻窪)僕が読みたい本を仕入れている、と店主
緑が覆う公園の横。すぐ近くに、しゃれた花屋と雑貨店があり、パリの街角みたいだ。ブルーのドアを開けて入る。
「2018年の秋にオープンしました。新刊とクラフトビールの店です」と、店主の尾崎大輔さん(41)。
え? クラフトビール? と、先にそちらに反応。
「久我山にクラフトビール醸造所があって。そこのビールを店内でどうぞ」とのこと。店内のどこで?
「どこでも大丈夫ですよ、2階でも」
で、2階を拝見。「閲覧自由」と尾崎さんの蔵書を置いた、“昭和の家”のような琉球畳敷きの空間だ。
あら! レトロな和ダンスの上に、安西水丸、和田誠らの本が並ぶ「目黒雅也の蔵書公開コーナー」が。目黒さんって、「西荻さんぽ」がヒット中のイラストレーターの?
「そう、ときどき来て、ここで絵を描かれています」
さて、「6坪に人文書約1000冊」の1階を回り、妙だが、「本にとって居心地よさそう」と感じる。面陳列された村上春樹著「デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界」、町田康著「くるぶし」、ソン・ボミ著「小さな町」を順に手に取った後、「想定外の数が売れたのは?」と聞くと、尾崎さんは川上幸之介著「パンクの系譜学」を挙げ、「僕が読みたい本を仕入れている」とも。
ジンも進化している
ジン(自主制作本)が結構なスペースを占めている。本物の納豆パッケージのような趣の「納豆マガジン」を思わず手に取ると、「面白いでしょ。ジンぽいコンセプト、つまり“偏愛”で1冊作っちゃってますね」と。ジンも進化しているんだ。いや、進化どころか……の例もあると、「代わりに読む人フェア」を案内してもらって知る。ジンを出して本屋を営業周りしていた友田とんさんが、ひとり出版社「代わりに読む人」をつくって、自著「パリのガイドブックで東京の町を闊歩する」シリーズなどを刊行。「一筋縄でいかない内容」が面白く、健闘しているそう。
尾崎さんは、システムエンジニアからの転身。住んでいる西荻窪の街に関わる仕事をしたいとの思いが高じて本屋に。店で、短歌部、妄想俳句鑑賞部なども稼働中──。
◆杉並区西荻南3-4-5/JR中央・総武線西荻窪駅から徒歩4分/12~19時、月曜と第2.4火曜休み
ウチで売れてる本
「自分でやってみる人のための校正のたね」サワラギ校正部 880円
「ジンやリトルプレスなどを1人で作る人が、自分で校正するときの手助けとなるハンドブックです。プロの校正者が書いたもので、新書判、32ページ。コンパクトな中に、『誤字脱字がないかをみる』『誤用の多い言葉を見る』『炎上しそう、回収になりそうな部分はないかを見る』など18の項目に分けて、書かれています。読みやすく、使いやすいからでしょう。とても売れていますよ~」