(8)これは父さまの遺書です
千加は母の豊の前に、父の着物から取りだした紙を広げて置いた。
全部で三枚、冒頭の紙には『賄い方不正の詳細』と題し、勘定方組頭に提出する文章の内容と同一のものをこれにしたためるとある。
千加は、目を皿のようにして、父の筆跡を追って読み上げる。
「同輩崎山平左…
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