(9)お上臈にまで母の面影を求め
叔父は裾の埃をはたくと帳場に戻っていった。重三郎は叔父の後ろ姿を見送った視線を格子の外へやる。
「あっ」
視線の先に年増のお上臈さん。着物の衿、首の後ろの衣紋をグイッと抜き白い柔肌が覗く。そこにかかる後れ毛が艶めかしい。
「……母さん」
そんなはずが…
この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。
(残り1,279文字/全文1,419文字)
【ログインしていただくと記事中の広告が非表示になります】