(8)吉原で育ちゃマセて当然
重三郎は叔父のもとで暮らし始めた。両親と離れ離れになった少年には翳が宿った。友人といえば本、頁を繰るのに飽いたら見るともなく外を見る。引手茶屋「駿河屋」が面する仲の町通りは吉原を貫く大路だ。
昼間の遊女はしどけない。長襦袢に着物をひっかけ、無造作に帯を巻いた若い妓が足早…
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