(116)貴殿の素性は徹底的に隠します
蔦重、尋常ならざる絵を描く十郎兵衛を前に思わずペロリ、妖猫さながらに舌なめずりをした。
「貴殿は追い詰められた鼠も同然です」
「はあ?」、十郎兵衛は訝し気に見返す。「今だっ」、猫ならぬ蔦重が飛びかかった。
「しばらくの間、貴殿の身を耕書堂に預けてください」
…
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