「吉原遊廓」髙木まどか著
「吉原遊廓」髙木まどか著
江戸時代の吉原には、きらびやかな社交場、文化の発信地であるとともに、人身売買と性売買の場という相反するイメージが常に同居する。実際の吉原とはどんなところだったのか、当時の史料をひもときながら解説する歴史読み物。
吉原は、幕府が開かれてまもない元和3(1617)年に設置が許可されたが、当初は大名や上級武士など身分や家柄の高い人しか遊べなかった。
やがて、庶民も出入りできるようになり、17世紀後半の寛文から天和の時代に最盛期を迎えるようになった。その背景を紹介する歴史から、「ありんす」や「わっち」などの廓言葉を遊女が使う理由、遊女と太鼓持ちとの恋、さらに年季明けのその後の遊女の人生まで。
さまざまな視点から遊女と客、そして吉原で働く人々の実像に迫る。
(新潮社 946円)