「チェレンコフの眠り」一條次郎著
「チェレンコフの眠り」一條次郎著
ヒョウアザラシのヒョーは、マフィアのボス・チェレンコフが密猟で手に入れた大切なペット。屋敷では「毎週」のようにヒョーの誕生日パーティーが催され、その日もパーティー中だった。そこに武装警官が屋敷になだれ込み、チェレンコフとその部下たちが皆殺しにされてしまう。現場で生き残ったのはヒョーだだけだった。
数日後、空腹のヒョーの前にボスの幽霊が現れる。ボスに言われるまま、誕生日プレゼントの専用カートに乗って、シーフードレストランに食事に出かけたヒョーだが、すでにボスの威光は通じず、無銭飲食を問われ、店で働くことに。そんな中、ヒョーは客のテレパスから歌手にしてやるとスカウトされる。
天涯孤独となったヒョーが荒廃した世界を漂流するユーモアとペーソスに満ちた不条理小説。
(新潮社 649円)