「春を背負って」木村大作監督
「八甲田山」「駅 STATION」「火宅の人」など、日本映画を代表するカメラマンの木村大作(74)が、監督第2作「春を背負って」を完成させた。デビュー作「劒岳 点の記」と同様、標高3000メートルの立山連峰で60日間に及ぶ山岳ロケを敢行というから驚く。
―引退宣言を撤回してまで、撮影に臨んだ動機を聞かせてください。
「監督作が生涯1本だけだなんて、格好いいなあと思ってたんだけどな。カメラマンとしてなら、あてがいぶちの仕事もやるけど、自分で監督となると、ちょっと違う。相当燃えて、燃えまくれる作品じゃないんで、監督話を2本断ったりしていたんだが、前作を撮り終えてこれで映画界とオサラバだってなったとき、生活の糧をどうしたらいいんだろう、食っていけねえやとなって、考え直したんだよ。俺は映画は2番手で、生きてくのが一番大切だって思ってきた。その生きてくためにも、やっぱり映画を選ぼうってことになった話でね。食っていくためにも映画しかねえんだよ」
――笹本稜平氏の原作小説には燃えるものがあったのですか。