「ガイア」ナレーターに杉本哲太 決め手は“あまちゃん人事”
「忠兵衛さん」から「北三陸駅長」へ
およそ2カ月間、代役でつないできたが、正式に後任者が決まった。3月30日に胃がんで亡くなった蟹江敬三(享年69)がナレーションを務めていた「ガイアの夜明け」(テレビ東京系、火曜22時~)。蟹江の闘病中と死後は、ゆかりのある面々――古谷一行や松重豊、寺島進らが交代で穴埋めしてきたが、来月3日放送回からは代役のひとりを務めた杉本哲太(48)が、2代目ナレーターに就任するという。
02年の放送開始から12年間、蟹江が語ってきた番組である。あの独特な渋みのある声。ロマンポルノでは怪優ぶりを発揮、その後は個性派俳優として人間味のある演技で、主役を陰で支えるバイプレーヤーとして活躍してきた。そんな蟹江の生きざまは、ビジネスシーンで苦境に陥ろうとも闘い続ける人々にスポットを当てる「ガイア――」の番組趣旨と通じるところがあったが、そんな先輩の後を継ぐ杉本について、「大いに期待できる」とは上智大教授の碓井広義氏(メディア論)。こう続ける。
「緩急のつけられる口跡で、役者としての実績も申し分なし。蟹江さんが築いた『ガイア』の世界観をうまく受け継いでくれるのではないでしょうか。そして『あまちゃん』での共演のインパクトが強い2人だけに、今回の起用は“あまちゃん人事”と呼びたい。杉本が演じた北三陸駅の大向駅長は、まくし立てるしゃべり方や泣き笑いの感情を前面に出した人間味のあるキャラクターでした。蟹江さんが演じた忠兵衛から、そんな北三陸駅長へのバトンタッチ。見る方もまた、違った楽しみが増えそうです」
中高年男性向けのドキュメンタリーだが、杉本の起用を機にあまちゃんファンの主婦視聴者も増えるかもしれない。