立川流顧問うならせた…談春「ルーズヴェルト」での悪役ぶり
ヒール社長を好演
回を追うごとに“悪さ”に磨きがかかっている。22日に最終回を迎える「ルーズヴェルト・ゲーム」(TBS系)。放送当初から話題になっていたのが、落語家・立川談春(47)の演技だ。主演・唐沢寿明演じる「青島製作所」の細川社長と対立する「イツワ電器」の坂東社長役で、青島製作所との合併を画策するヒール役を好演している。
談春は84年、高校中退後に7代目・立川談志に入門。一時期は深夜番組にも出演するなど、活動の幅を広げていたが、ドラマ出演は昨年の「黒い十人の黒木瞳III 黒いカウンターの女」(NHKBSプレミアム)の一度きりだ。談春の演技について、立川流の顧問を務める作家の吉川潮氏は「役者としての経験が少ないにもかかわらず、あれだけ悪役を演じきれるとは……」と、こう続ける。
「立川流の関係者はみんなドラマを見てるので、『談春は先週も悪かったねえ』なんて言って盛り上がっていますよ。これまで、落語家がドラマに出る場合は、たいてい主人公の行きつけのバーのマスターとかアパートの隣人とか、要はにぎやかしの役がほとんどだった。それなのに、ここまで主演と五分で対立する悪役とは見事。しかも刑事ドラマの犯人のような『悪』ではなく、組織のトップという役。談春は高座で、例えば古典落語『包丁』の小悪党役をやると実にうまい。師匠である談志も30代の頃は映画で小悪党の役をやっていたので、師弟のDNAは受け継がれるものなんだと実感しましたが、談志は小悪党は演じられても、経営者の『悪』は談春ほどに演じることはできなかったんじゃないか。あのドラマは時代劇的な要素もあって、悪役は顔が大きいというのがある。歌舞伎でも敵役を示す『赤面』は顔を大きく見せるため。小顔の唐沢との対比もうまくできている。この前、談春に会ったとき、『そのうち時代劇の悪代官役に抜擢されるんじゃないか』と言ったら、『いやいや、僕は素人ですから』と照れていましたけどね」