「海はヨ~」の村木賢吉さん 原因不明の病で歌えなくなり…
1973年、御殿場に転勤。すでに「おやじの海」は忘れかけていた。しかし77年、突如、北海道釧路市の有線放送から火がつき、東芝EMIからメジャーデビューの話が飛び込んできた。
「レコーディングしたのは6年も前だよ。慌てて押し入れからレコードを探し出し、覚え直した、ハハハ。東芝から改めて発売され、NHKの人気番組『新日本紀行』で流されたら、いきなりドカンときた。人生変わったね」
テレビやラジオの出演は引きも切らず、週末はコンサート。仕事どころではなくなったため、79年に退職し、歌手一本になった。
「あの年はワタシが有線放送新人賞、佐義さんが日本作詩大賞大衆賞をいただいた。そこにある王選手との写真も、79年の初冬に撮った記憶がある」
指さしたのは靴箱の上の壁。35年前の村木さんが、王さんとスーツ姿でほほ笑んでいる。
「曲がヒットするってスゴいことなんだね。世界の王さんとツーショットなんて、今にして思えば夢みたいな話だもの」