ベテラン声優・山寺宏一が感謝する三谷幸喜からの“説教”
その時に「次の私の作品に出てみませんか」と打診され、「もちろんやりたいです」と即答。すぐに所属事務所に「合い言葉は勇気」出演のオファーが来ました。
そりゃあ、うれしかったです。三谷さんが手がけたドラマは軒並み高視聴率を稼いでいたし、舞台もチケットが取れないほど。そんな売れっ子から直接、出演依頼があるとは思ってもいませんでしたから。
ただ、戸惑いと不安もありました。それまで芝居に出たり、企業ビデオやワイドショーの再現ドラマに出演したことはありましたが、連ドラは初めて。しかも、ボクが演じたのは放送作家の役で、役所広司さん演じる主人公のブレーンという、いわば作品のキーパーソンでもありました。
それだけに、どんなふうに演じたらいいのか、口調、しぐさ、何もかもがわからなくて。それで台本を見ながらレコーダーに出演者のセリフを録音して再生しながら、一人で何回も稽古して収録日を迎えたんです。
最初は喫茶店で役所さんと会うシーン。「スタート」の声がかかると役所さんはスタンバイしてる時とはガラッと変わって、ずっと以前からボクのことを知ってたかのように、表情も口調もすごくフレンドリー。役になり切ってるというよりも役柄そのもの。さすがの演技力にビックリしました。