<第15回>政治家よりも経済人よりも日中友好に寄与した
チャン監督の映画の特徴は出演者が素人であること。
「地方に暮らす人々を描くためには、そこに実際に住む人の心情が映し出されていなくてはいけない」
それがチャン監督の考え方で、同映画に出てくる観光ガイド役のチュー・リンは実際にその仕事をやっている。ロケを見学に行った時、出演が終わっていたチュー・リンは実際にわたしのために観光ガイドをしてくれた。もちろん、わたしもガイド料を支払った。
チュー・リンは高倉健について、こう言っていた。
「高倉さんは中国人にとってはあこがれの俳優です。誰でも、あの人のことは知っています。ロケの間、どんな時でもあの人が腰かけて休んでいるのを見たことはありませんでした。私たち出演者、スタッフはみんな、あの人の立派な態度に心を打たれて映画に協力しました」
政治家よりも経済人よりも、日中友好に寄与したのは高倉健だ。この映画を見ると、その事実がわかる。