<第1回>どこで亡くなったのか。誰が看取ったのか。最期の容体は――。すべてがわからなかった
「あ、竜太郎さん、すみません、締め切りが迫っているので。あと、なにかわかったことがあったら教えてください」
電話を切ったあと、さて、どうしよう、と思いを巡らせた。いつものように時間もない。編集部で取材チームがつくられたが、その時点で、最近の情報はほとんどといっていいほどなかった。過去の記事からキーパーソンになりそうな人を捜し出し部員に割り振ると、再びネタ元に電話をかけまくった。
どこの病院で亡くなったのか。いったい誰が看取ったのか。最期の容体は。はたして遺言はあったのか。それらすべてがわからなかった。