視聴率最低タイ「花燃ゆ」井上真央を“傷モノ”にしたNHKの罪
「とにかく人間が描けていない。一年間通じて見てきましたが、文改め美和さんがどういう人物だったのかサッパリ分かりませんでした。女性が虐げられていた時代とはいえ、萩の名家の娘で『せわぁない(世話ない)』が口癖という民主的な親の元で育ったとあれば、己の生きがいや信念があってもおかしくないのに、見る側にまるで伝わってこない。ドラマ制作は作り手が主人公に惚れ、“何がなんでもこの人物を描きたい”という情熱が画面からみなぎるものですが、一切、感じることができなかった。終始一貫して退屈極まりない物語でした」
■最終回当日は地元に“お詫び行脚”
その上、最終回直前には自治体を巻き込んだスッタモンダが発覚。主人公ゆかりの地である山口県防府市が、観光客誘致を狙って1億円以上の税金をつぎ込んでドラマ館を建設するも大幅なストーリーの変更により、同市を舞台としたシーンが消滅したというもの。最終回当日には井上本人が“お詫び行脚”で防府に出向き、楫取夫妻のお墓に参る様子が報じられた。
「そもそも準備不足がたたった」(NHK関係者)という言葉どおり、安倍首相のお膝元である山口が舞台となる人物が主人公というのが“最優先事項”の見切り発車だったとすれば、批判の矢面に立たされた主演女優の井上も“犠牲者”だけに泣くに泣けまい。
来年1月9日、20代最後の誕生日を迎える井上は、会見やインタビューのたびに視聴率に貢献できない自らの力不足を恥じていたが、彼女一人に責任を負わせるのは酷というものだろう。制作サイドの事情で振り回し、井上を“傷モノ”にしたNHKの罪は重い。