<第1回>姉と比較され「存在そのものが失敗」と言われた幼少期
♪どれだけの道を行けば、男は大人になれるの? 白いハトがたどり着くまでにいくつ海を越えていけばいい?
同じアラ還世代の皆さんなら、日本語の訳詞をちょっと並べただけで、お分かりだと思います。そうです、ボブ・ディランの「風に吹かれて」。私も青春時代にギターをかき鳴らして、よく歌いました。香港の中学で、顧問の先生に憧れてフォークソングクラブに入ったのがきっかけでした。
私は6人きょうだいの4番目。家は中産階級で、貧乏というわけでもなかったんですけど、私には一番上の姉の美しさもなければ、2番目のように学校で1番の成績を取る頭もなく、さらに背がちっちゃくて目立つものがなにもなかったから、いつも姉たちと比較されて「かわいそうな子」「存在そのものが失敗」と言われていました。私なんかいなくてもいいんだと考える、暗く、引っ込み思案な娘。今の言葉で言う毒舌で、世の中を斜に構えて見ていたのを覚えています。
幼稚園のとき、やはり先生に憧れて、いつか私も幼稚園の先生になりたいと思った夢も、小学校での成績が最低ランクでしたから、それも駄目と諦め、もうやる気もなにもなかった。